窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

ようやく挿画のための刷りが終わった。6月の個展のための刷りはまだなのだけれど、明日渡す分はおしまい。乾いたものは仕舞った。まだ乾いていないものを貼った板が部屋のそこここに立て掛けてあり、壁が迫ってきて、猫も不機嫌なご様子。これまで作った作品はいったいどれくらいあるのだろうか。「絵はずーっと残るからいいわよね。」と言われることがある。この、「ずーっと」が何を指しているかはわからない。作者が死んだ後のことだとしたら、私にはどうでも良かったりする。私は実のところ自分の足跡は消しゴムで消してしまいたいと、思うことがある。


夕べは刷りながらイカレタ音楽を聴きたいと思い、ジャームッシュストレンジャー・ザン・パラダイスで流れた曲I Put A Spell On Youを聴いていた。Screamin' Jay Hawkinsのアルバムである。別にこれはお薦めではないです。私は2枚しか持っていない。どっちも・・なんといったらいいか。ひたすら版画の刷りをやるときには、合っているような。