窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

「最近自転車にのらないの?」とMちゃんに訊かれた。春近しとはいえ、今日も寒い。歩いていても身体に力が入る。この寒いのに自転車なんてとんでもない・・。しかし、20代のころは、冬であろうとバイト先の芝浦まで毎日単車で通っていた。家からの距離は30キロ近くあっただろうか。
免許を取ってから単車が買えたのはかなり経ってからで、家の周りを乗るのも恐ろしかった頃、バイト先のオジサン達にツーリングに誘われた。結果は散々で私はカメと言われた。悔しいのでそれから毎朝奥多摩へ一人で練習に行ってから、バイトに出かけた。次にオジサン方と椿ラインへ行ったときには驚かれ、その後カメとは呼ばせなかった。若いというのは偉いものである。

郵便局へ行く途中で、畑の脇から突然出てきて呑気に歩くミルクティー色の大猫の後ろ姿を発見。もしやダンナでは?私は足音をさせぬように、小走りで追いかけた。近寄っていくと、ダンナらしき猫も小走りになり、近くの民家に駆け込んでいく。ポンポンと私が自分の腿を叩くと立ち止まって振り向いた。やはりダンナだった。相変わらずの人相(猫相)だった。