窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

風邪は殆ど治ったけれど、咳のせいか左胸が痛んでスズメバチに左肩を刺された夢をみた。スズメバチの種類はキイロスズメバチ。私を刺して庭の石の上で死んでいた・・と言う夢。
今日返却しなくてはならないので、天気が良いのに朝から「JSA」を見る。15年以上前に、韓国には一度だけ行ったことがある。それはバイト先の社員旅行で連れていってもらったもので、私にとって唯一のパックの観光旅行!!というかんじのものだった。その時、板門店にも行き北と南の境界線を見た、ガイドの韓国人の女性はオーバーアクションで、いかに北朝鮮がひどいことをしてきたかということを涙を浮かべて説明しつづけていたのだけれど、彼女のアクションが大きくなればなるほど、私にはまるでお芝居のように思えてしまったものだった。1本の線の向こうとこちら側に無表情に立っている兵士達は、何を考えているのか不思議だった。そこにはベルリンの様な壁もなく、ただこちら側と向こう側というだけで。不自然な思いがしたものだった。彼らはじっと立っていて、そのそばを説明を聞きながら私たち観光客は歩いていた。まるで、博物館の展示の前で、「こんなことがありました」と歴史の勉強をしているかのように。でもそれは現実で、今も同じように続いている関係なのだ。

JSA」はいい映画だった。これまで韓国映画はいくつか見たけれど、どれも色んな意味でよくできている。この「JSA」はストーリーもしっかりしていて映像も美しく音楽もよかったし、カットも凝っている。テーマはずっしりと重く哀しい。