窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

色川武大を読んでた。

夕べラジオで伊集院静が「いねむり先生」の話をしていた。久しぶりに色川武大を読みたくなって「百」を読み始めた。また読みふけりそうな懐かしいような、読む本が沢山あって、うれしい気持ち。

初めて読んだのは20年以上も前。入院していた父に付き添いで病院に泊り込んでいた時だった。あの頃は色川武大ばかり読んでた。
病院は看護婦さん(今は看護士というのか)が足りないから、家族が泊まってくれと言われて姉と私は交代で泊まり、2人とも病院から仕事に行くような日々だった。
病室の椅子に座ったまま夜を明かして、横になりたいときは談話室のソファーで毛布をかぶって寝た。朝になって目を開けると私の顔を覗き込む老人たちの顔があってびっくりして飛び起きたりもした。

眠れない時は1階のエレベーター脇のベンチで色川武大を読んだ。真夜中、誰も乗っていないエレベーターが何度も下りてきてはドアが開いてまた閉じて上がっていったけど、あまり気にならなかった。


百 (新潮文庫) 怪しい来客簿 (文春文庫) 狂人日記 (講談社文芸文庫)



あの頃は、みんなまだ生きてた。