窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

五目並べ

予備校の頃はちょうどインベーダーゲームが流行っていて、お茶の水の喫茶店名曲喫茶の中までゲーム機(ゲームテーブル)が据え付けられていたほどだった。
インベーダーゲームの後はシューティングみたいなのが流行って、そのあとゲームセンターやファミコンが流行ったせいか、喫茶店にゲームは無くなっっていったように思う。
私ができるゲームはスーパーマリオ(初期の)位までで、後はテトリスとか。とにかく3Dぽくないもの。奥に入って行くのは眩暈がするのでだめだ。
去年かその前くらいだったけれど、友人のサイトで個展の様子を3Dで再現したような・・つまり画廊の中をモニタが入ってくような作りになっていたものを見ていたら、5分くらいで眩暈が再発して、その後しばらく屍状態になってしまったことがあって情けない体質なのだ。
それで私ができるゲームの一番は五目並べ。最近はだいぶ上達して飽きてきたけれど。


昔、パソコンなんてない頃。アフリカへ行く飛行機の中で、隣に座ったKちゃんと私は小さいメモ用紙に碁盤を書いて五目並べをやって時間を潰していた。
小さな飛行機の中、私たち以外はフランスの老人たち。私たちがパリで探した格安チケットの中身はフランスの老夫婦ツアーパックだったのだ。
フランス人のおじいちゃんお婆ちゃん達は、もうとにかくうるさくて、ワインをがぶ飲みして真っ赤な顔で歌を歌ったり、奇声をあげたり、スチュワーデスが注意しても全然お構いなしでげらげら笑いながら歩き回って、フランス映画に出てくる陽気なパリの下町の(酔っ払いの)人達。というかんじ。
そんな中で私たちは何も言わずに黙って五目並べをしていたのだから、今思えばけっこう異様だった。
しばらくすると、騒ぎ疲れた前の席のおじいちゃんが椅子の上から顔を出して私たちのゲームを見始めた。私はその頃五目並べがすごく弱くて数手で負けてしまっていた。
フランス人のおじいちゃん(怪盗ファントマのジューヴ警部に似てる)はそれを見ながら、「oh----」とか「ummmm」とか言いながら額に手をやったり両手で自分の頬を挟んだり、私の顔を気の毒そうに見たりしていた。


しかし。今は私はけっこう強くなった。あの頃五目並べを競ったKちゃんは死んじゃったから、パソコンの五目並べソフト(これがgomokuといって、オリジナルはイタリア人?がつくっているような)でやる。レベルがvery difficultでも勝率は5割以上。というよりもだんだんワンパターンになってきて勝つ手が決まってきてしまったのだけれど。(上の画像で黒が私ですよ)

今度はちゃんと囲碁を覚えるか、それともチェスをちゃんとやってみようかな。と思ったのはこれを読んだから。
広い物語の中を、一人で泳いでいるような心地よさと寂しさ・・。

猫を抱いて象と泳ぐ

猫を抱いて象と泳ぐ

子供の頃家にあったボードゲームのセットで覚えただけで、何が面白いのかわからなかったゲーム。
なにごとにおいても先を読まない性質だからか・・・。