現実逃避法
絵を描いていて煮詰まっていると他のことをしたくなるのは卒業制作のときからだった。それは私だけじゃなく、その時期に同じクラスには編み物をしている人が多くなったり。
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消しゴムハンコを作った。ツチブタくん。楽しい!!でもキリがないので一つだけにした。
実はこれが押してある封筒もあまっていたノートをほぐした紙で作った。どうして封筒を作ったかといえば絵を描いているノートに封筒を取り付けたかったので。
それで封筒を作っていたらハンコを押したくなって消しゴムハンコを作ったというわけで、結局でき上がったのは封筒と消しゴムハンコだけで絵はでき上がっていないのだった。
この間炎立つを読んだ後、昔Kモ君に借りたままになっていて読んでいなかった高橋克彦の本やその他何冊かを引っ張り出して読んだ。それは時代小説ではなかったけれど写楽殺人事件 (講談社文庫)。他に何冊か読んでいたら少し疲れた。その中で面白かったのは
柳生十兵衛死す〈上〉 (小学館文庫―時代・歴史傑作シリーズ)
- 作者: 山田風太郎
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いやあ、山田風太郎は凄いなあ。といつも感心してしまうのだけれど、これを読んだ後で思い出したのは以前時代小説を読みまくっていた時も現実逃避をしたかったのだということだった。その時も〆切りなどがいくつかあって、それどころじゃないのに寝る間を惜しんで読んでいたのだ。ああ、これはきりがなくなり大変なことになると思い出した。それで今はもう時代小説をやめて芥川龍之介全集を読んでいる。
- 作者: 芥川龍之介
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子供の頃、新書版の芥川全集の何冊かが家にあってそれを読んでいた。ルビは振られていたと思うけれど旧仮名遣いだったし、わからない所は飛ばしていたのかも知れない。芥川龍之介が描いた墨絵の装丁が当然のことながら内容にピッタリ寄り添っていた。その後は全集ではなくて、文庫化されているものを買っては読んでいた。
20代半ば頃、バイトをしている時に急に目がチカチカとして見えなくなったときがあり、父が通っていた大学病院の眼科に駆け込んだことがあった。廊下で待たされた後に精密検査を受けた時には眼は見えるようになっていたけれど、眼の端に半透明のギザギザが現れてひどい頭痛になった。
診てくれた女医さんに「閃輝暗点ね。知ってる?芥川龍之介が自殺する直前になった病気よ。」と言われた。なんとその時私のポケットにはまだ最初しか読んでいない「歯車」の文庫が入っていたのだったが、先生には何となく言い出しかねて、頭痛薬をもらって帰ってきたのだった。