窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

スモカ広告全集

これは1980年にマドラ出版から出た片岡敏郎スモカ広告全集。四角くて、分厚い1156頁。
モカ歯磨の広告が集められた1冊なのだけど、挿画を描いているのが恩地幸四郎や川上澄夫の名前もあって、古本屋さんでつい購入。実際に広告として新聞に載っていた昭和3年から昭和16年までのものを抜粋しているのだけれど、構成やコピーは広告の原点という感じです。このユーモアは、江戸の香りがぷんぷんします。
学生時代とっていた文学の講義の教科書は、黄表紙でしたが、あれも面白かった。娘道成寺のパロディみたいな話では、最後に鐘から福助が落ちてきたりして。
私はどうもこういうモノクロの版画や筆タッチの本を見ると、どうしたって欲しくなってしまうのです。何人もの画家の絵が使われているけれど、これは、当時の大御所ばかりだろうか。この時代だったら谷中安規が使われていたっていいのになあ。と、思ったりします。