窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

昨日からチマチマと読んでいる。




象 (文学の冒険シリーズ)

象 (文学の冒険シリーズ)


ポーランドの作家スワヴォミール・ムロージェックの短編集です。
訳者あとがきを読むと、日本の作家になぞらえると筒井康隆だと書かれていましたが、私は、最初の「馬」を読んですぐにこれは内田百けんだっ!!と思いました。(筒井康隆でもあるかもしれないけれど。)
なので、一気に読むのが惜しく、チマチマと読んでいます。一編読んでは、天井を見上げて至福を噛みしめています。
これは1991年に一刷だとのこと。この本を読まずに10年以上も過ぎていたのかと思うと、なんとも残念な思いがします。

もう1冊読んでみようかと思うのは、全然違いますけれど、柄谷行人が朝日の書評で取り上げていた

金と芸術 なぜアーティストは貧乏なのか

金と芸術 なぜアーティストは貧乏なのか

ベタなタイトルです。「なぜ○○は■■なのか。」・・・「さおだけやはなぜ・・・」みたいな。
しかし、英文も「Why are artists poor?」らしいので、そのままですね。
近所の大手書店で探してみても入っていなかったので、やはり一般向けではないのでしょう。そして「さおだけや」みたいに誰もが「おお、そういえばそうだなあ。」と膝を打つような事柄ではなくて、
「なぜアーティストが貧乏なのか」なんていうのは、なんというか
「だからどうしたってんだ。こちとら忙しいんだッ!」って、叱られちゃいそうな気がします。うしろめたさ・・・みたいなものを感じてしまう。私だけかもしれませんが。
そうして、この価格。544ページ。3570円也。貧乏なアーティスト向けの値段ではないかもしれません。

芸術と経済といえば、村上隆の「芸術起業論」でしょうか。あれは凄いですね。・・・装幀が。
中身を言い表している装幀。もう絶対これしかないだろう。みたいな。装幀にはかなり感心しました。
中身は立ち読みをしました。まあ、でも私の周りでも、期せずして同じようなことを言っている人もいるから、それほど珍しくないかな。とも思います。で、周りのそういう人達の意見を聞くにつけ、元より私はそのあたりどうでもいいや。って思っているところがあるので、もしかしたらそれではいけないのかも。少し知っておいたほうがいいのかな。と。
確定申告の季節だし、私にとってはそういう経済のことを考える時期でもあります。
ムロージェックを読んで暢気に笑っている場合ではないのかも。
でも『象』これは、久々に嬉しい本です。某ミクシーのドボチョン日記に通じます。絶版です。勿論私は役得で古本屋さんで入手しました。ふぁっふぁっふあっ。