窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

駒井哲郎<樹のある風景>

●不忍画廊にて、駒井哲郎の<樹のある風景>展をやってます。

 不忍画廊
  駒井哲郎 <樹のある風景>
  開廊45周年企画 Part6
  2005年10月25日(火)〜11月5日(土) 日祝休

私が駒井哲郎の作品を知ったのは、10代の頃だった。名前は耳にしていたけれど、作品を目にしたのは、駒井さんが亡くなって画集が出たときが初めてであった。その時私は予備校生で、親のつてで飯田橋の美術出版社に行き、想像していたよりもずっと重い駒井哲郎版画集を抱えて予備校に行ったのを覚えている。当時は芸大に受かると言う目標のみの絵画科の予備校生の私を含めて、受験生は皆、油絵やデッサンの技法に役立つものだけを選別して絵を見ていた。そういったことは離れた本当の意味での「絵」として、受験用の絵を描くことに疲れた時ににボンヤリと眺めていたのが、駒井さんの画集だった。当時は自分が銅版画を作るようになるとも思っていなかったし、勿論銅版画のなんたるかもわかっていなかったのだけれど。大学時代、版画専攻ではなかった私は、卒業してからこの駒井哲郎の作品や著書の数々から教わったものが大きい。