窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

ストーブ

家の中はだいぶ冷え込んできた。陽が落ちるといっきに。そうして、今日ようやく灯油の配達がやってきた。まだ早いかも。と、思いつつ、一週間ほど前に赤いポリタンクを縁側から玄関に移し、この数日は灯油の配達を待ちわびていたのだ。
去年と同じ灯油屋さんの赤とんぼの音楽が遠くから流れてきて、段々と近づいてくる。
玄関を開けて覗いてみると、まだ2件ほど向こうの家の前に停まっている。ポリタンクを門の側に置いて私は家に戻り、大きいストーブにすぐに入れられるように準備をして待っていた。
夕焼けこやけの音が近づいてきた。今年は灯油は高くなっているのだろうナー。等と、思っていたら「オワレーテミタノハイツノォヒーカ〜〜〜♪」と、トラックは私の家の前を通り過ぎていってしまった。
(ウソッ!)私は急いで門の外へ出て、トラックの後を追った。トラックは10メートル程先の道で方向転換をしようとしているところ。去年と同じ笑福亭笑瓶似のオジサンが運転席からこちらに向かって手を振った。手を振ってそのまま行ってしまった・・・・。笑瓶カムバ〜ック・・・・。しくしく。
積んであるのが足りなくなっちゃったのかなあー。そのうち灯油は配給制とかになったりして・・。と、思いながら家に戻ったら、走ったせいか少し暖かくなった。
先日家に来たTさんから「冬でも着込めば大丈夫だから、また遊びに行きます。」とメールが来たのだが、この家の寒さを沖縄生まれの彼女は我慢できないのではなかろうか。