窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

 昨夏越してきた時にゴキを1匹目撃したので、ほう酸団子なるものを置いていたのだけれど、効き目があったのかどうか不明であった。目撃しないだけで、もしかしたらいるのではないかと思われ、しかし進んで探すのもためらわれそのままにしていた。
 今年に入り、また新たに1匹目撃したので、久しぶりにゴキホイホイを買ってきて2箇所に仕掛けたのだけれど、ものの10分で猫が目茶苦茶にしてしまった。ごみ箱の陰に置いてあるほうは気づく素振りもないので、そのまま2階に上がっていたのだが、少しするとバタバタと音がして、降りていくと壊れたゴキホイホイの横に猫が座っていた。ゴキがかかったのを見た猫が喜んでじゃれたにしては、あまりに早すぎる。ホイホイの餌の匂いに猫がおびき寄せられたようだ。それで仕方なく諦めて、再びほう酸団子のみに戻った。
 しかし、夜半になるとやはり1匹出現したので、熱湯で退治した。それでまあホッとしたのだけれど、朝、なんと、流しにゲジゲジがでた。ゲジゲジなどを見るのは、私は生まれて2度目くらいだと思う。これも熱湯で退治した。
 そして、夕べ。Macの置いてある部屋で、カサコソという大きな音がした。建て付けの悪い網戸の隙間から何かが飛んできたのだ。何なのはかわからない。私は二の腕に鳥肌をたてながら下に逃げた。そうして、掃除機を片手に再び2階へ。猫は、もう寝るのかと思って嬉しそうについてきた。
 階段の上の電球のところに黒い影が見えた。蝉?ちがう。蝉ほどの大きさの、しっかりして重そうな蛾だった。猫が気づいたら半狂乱になって飛びつくことに相違ないが、猫はトントンと調子よく階段をあがり、そのまま部屋に直進していったので、私はすぐにドアを閉めた。そうして、せまい階段を上がったところで、その大きな蛾を掃除機で吸い取るべく汗をかいたのだった。数分で掃除機で吸い取ることに成功したが、私は疲れて目まいがした。


 本日の文章が硬いのは、私が虫が苦手だからである。「ゴキ」をフルネームで書けないのはもちろん嫌いなのだからだが、それで思いだしたのはハリポタだ。御存知のようにハリポタの世界の人達は「ボルデモード」の名を呼ぶことが出来ない。本でも映画でも、なんだかそのあたりが実感としてわかなかったのだが、こうして書いてみると、なるほど、と思う。まだ夏は始まったばかりだ。ハリポタの6ももうすぐ発売だ。