窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

 窓から見える家の玄関先の木に、濃いピンク色のものがポチポチとついている。梅が咲いているのだ。寒いと思っていたけれどやはり暖冬なのだろうか。寒くない冬では翌年の桜はあまり奇麗に咲かないというけれど、来年はどうだろう。以前とは違って、この町には桜が多いので楽しみなのだけれど。
 朝、駅への途中の公園を通ると、池の中に鷺が一羽立っていた。真っ白で大きい。オオサギかチュウサギ。嘴は山吹色で首が鶴のように細くて長い。少し見ていると、鉄線のように丈夫そうな細い足をぎこちなく曲げて池の浅瀬を歩きはじめた。間違えて来てしまった。というようなかんじで首を伸ばしたり縮めたりして落ち着かない様子だ。帰りに通ってみるともういなかった。