窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

パワーズ

 「ナイン・インタビューズ」(柴田元幸アルク)を拾い読みしていて興味を持ったのがリチャード・パワーズだったので、先日M亮に尋ねた。M亮は編集者で仕事柄最近の英米文学は凄い勢いで読んでいるのだ。面白かったよ。と言われて、読んでいなかった本の中から「舞踏会へ向かう三人の農夫」(リチャー・ドパワーズ/柴田元幸訳・みすず書房)を読み始めた。読書量が減ったのは、電車で通勤をしなくなったせいもあるが、なるべく原書を読みたいと意地を張っているせいもある。しかし、私の英語力では原書はそんなに読めないのである。今日は朝から水彩画教室だったので、電車の中で読み始めた。面白くてちょっとスピードを上げて読みすぎている気もする。もっと言葉の一つ一つを味わわないと。

 本を読んでいると頭の中で何かがカタカタと整理されてくるような感じがする。外の世界に揉まれてバラバラになっていた部品が、元のところにきちんと納まっていくような心地よさだ。読み始めると首をガクッと下に向けて、読み終えるまで同じ姿勢で朝まで読書ということが多いのだけれど、今はそうもいかない。




舞踏会へ向かう三人の農夫

舞踏会へ向かう三人の農夫