窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

Sさんの回顧展を観るために、彼女とともに軽井沢へ。朝は日が照っており、部屋の中では半袖でも暑いくらいだったのだけれど、軽井沢に着いたときには雨も降りだし肌寒くなっていた。駅の階段を下りターミナルの前に出ると、雨足も強くなり始めていたので、私たちは散策することをやめて駅前の蕎麦屋へ入った。
美術館で展覧会を見終えてから、下の喫茶室で珈琲を飲み、私は明日搬入のために軽井沢に泊まるSさんと別れて家に戻った。夜は私の幅広い年齢層の女友達の中では最年少のTさんが、泊まりに来ることになっていたのだ。

彼女が家に来るのは2度目なのだけれど、家をバイクで出るときに連絡があったのが9時頃。1時間もかからないはずなのに、なかなか来ない。そして電話がかかってきた。「今戸田なんですーーーー。」戸田。どこじゃ?と私は昔使っていたツーリングマップを引っ張り出して、見てみた。あー、遠くまで行ってしまったのね。

その後ツーリングを終えて(といいますか)日付の変わる前に彼女が到着し、恐ろしいことに朝の8時までワイワイと盛り上がったのだった。私の女友達の殆どが下戸である。下戸でなくても嗜む程度。そう言う場合は、お茶でも朝まで話し込める私なのだけれど、Tさんは、私の大学時代の酒飲み女のナンバー2と同じくらいだろうと思われる。1位はザルだったので、超えることは誰も出来ないのだった。(私ではない)
 Tさんは20代半ば。私が彼女の歳のころよりもずっと大人である。その頃の写真を彼女に見せると「げー、かっわいいですねー。ぜんぜん顔違いますネー。」と。どういう意味じゃ。

彼女に言われて気づいたのだが、私の友人は大学時代の人たちを除くと、年下の女友達が多い。そうして彼女達には叱られていることが多かったりする。それぞれの顔を思い浮かべると、「コラコラ」とか「しょうがないなあ。」「だいじょうぶかねえ。」などという声が聞こえてくるのである。しっかりしなくては。