窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

昨日は待ちに待った紙が届いた。先日佐野さんに教えてもらった紙である。封を開けると、植物の匂いがする。表面を撫でてみてニコニコ。私がもしもこれから自分の好きな職業につかせてあげると言われたら、手漉き和紙職人か、鬼瓦職人か、宮大工のいずれかになりたい。
和紙は気合いを入れて沢山の枚数を頼んだので、これまでの紙用の段ボールの筒では間に合わずに大きいのを作ったら、押し入れの棚に入らなくなった。おうおうにしてそういう傾向があるのだ。本にしてもCDにしても。でも、佐野さんもそうだというので一安心(というか)今日はこれにどうさ引きをする。嬉しい。
先日注文の葉書を書く折りに、後払いだから先方に不安に思われてはいけないと思い銅版画を作っている旨などを書いたら、同封された送付書に「立派な作品のでき上がりますことを祈っています。」と達筆で添え書きされていた。まことに緊張する。銅版画の机の前に貼っておこうかと思ったりして。
私は自分の作品を部屋にはあまり飾らないのだけれど、売らないことにしているものを数点かけてある。それから、佐野さんの木版画と幸三郎さんの陶器、それが入っていたときの紙袋。(これには幸三郎さんの「えをかくせいかつ」と書かれた版画が刷ってある。)他にも好きな作家さんからもらった葉書など。これらは皆、制作をしていてめげそうになったときに眺めるためのものなのだ。キガヨワイカラ。