窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

退廃的・・とでもいうべきか。そのような音楽を聴いていたことがある。先日根津のカフェに入ったらそのような曲がかかっていたので懐かしくなり、押し入れの中から、昔友人がダビングしてくれたテープをひっぱりだした。
Anne Pigalle ZTTレーベルのものだ。一時期、ART OF NOISEなどと共に、どこの店でもかかっていたような覚えがあるけれど、今はあまり聴かない。20代の頃、その友人がダビングしてくれたテープや誕生日にくれたCDを並べてみると、今になって彼の印象が変わる。トリフォーの映画音楽、ピアゾラ、映画で使われたクラッシック音楽特集(「ゴッホの向日葵の陶酔」とテープには書かれている)CDはエンニオ・モリコーネ

彼は、学生時代、大学内でセッションシアターという状況劇場ばりの劇団を作っていた。実際は大学に入る前、予備校で結成したらしいのだが。当時の造形大は、山を切り崩した所に天井の高いプレハブのようなアトリエが建っていて、11月の、酔い倒れたら凍死者が出ると言われていた極寒の学園祭では、学生達は砂だらけの床に肩をくっつけあって座り込み、彼らの芝居を見たものだった。卒業してからは、同期のセッションの人たちは誰も演劇に関わっていない。件の友人は、スキューバーダイビングなんぞをやっている。