窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

オフィスイイダでの個展は、6日に無事に終えることができました。
会期中は天気にも恵まれ、多くの方にお運びいただきました。皆様ありがとうございました。
私はずっとお茶の水画廊で発表して参りましたが、お茶の水淡路町界隈の再開発により画廊が無くなってしまってからの、久しぶりの東京での新作展でした。
作品をご覧頂いて笑顔でギャラリーを後にする方達を見送り、そして客観的に自分の作品を見ることもでき、またネジを巻き直し次の作品に繋げていこうと思っています。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
写真はオフィスイイダではなく、家の片隅。

久しぶりに東京での展覧会のお知らせです。版画小品他さまざま。小さき者たちの小さな声に耳を傾けるように、ご覧いただければ嬉しいです。どうぞ皆さまお運びください。

オフィスイイダ展覧会のお知らせです
市川曜子展」
日時:2015.5.25(月)-6.6(土)13時〜18時半 日曜休廊(最終日17時まで)
会場:オフィスイイダ 中央区銀座1-9-8 奥野ビル4階408号室


銅版画の味わい深い線によって描かれた風景や登場人物たちが物語る、誰の心にもきっとある、少し寂しくて楽しい心象版画です。
是非是非ご高覧ください。

(画像をクリックしてオリジナルサイズを選択するとハガキ大でご覧いただけます。)


駅前の再開発が始まって20年近く経つのだが、計画は変わったりまた元に戻ったりしながらも、ついに昨年辺りから本格的に商店街の路地は消え、更地になって魅力のない地域へとまっしぐらに向かっている。
まあ、それはそれとして。
工事が始まって程なくしてから、駅から少し離れたところにある500メートルほどの遊歩道の脇の植栽や木々が抜き去られ、どうしたことかと思っていたら、そのうち100メートルくらいに道端の簡易駐輪場ができ上がった。
元々この遊歩道はとってつけたような木が植えられていて、片側の高い塀には、お決まりのスプレーの落書きと、それを消すための有機溶剤の匂いが漂うこともしばしばという場所だった。落書きを防いでだいぶ形になってきたと思ったモッコウバラも含めて、緑がすっかり取り払われたときにはやはり驚いた。

駐輪場ができ上がったら、もうその朝から守衛さん達がいた。
シルバー人材センターの人らしい彼らは、10メートル間隔くらいにたたずんでいる。立っている人もいれば、パイプ椅子を持ってきて座っている人もいる。ベンチがある場所にちょうどいる人は、そこに腰を下ろしている。
私の家から駅へ向かうにはその遊歩道を通るのだけれど、けっこう起伏があり、早足で歩くと息も切れる。
駐輪場はちょうど息が切れてきた頃から始まり、遊歩道の出口まで続いている。
守衛さん達は私が前を通ると「おはようございます!」とか「いってらっしゃい」と声をかけてくれる。私もそのまま無視するのもなんだし、「ごくろうさま」と答えるのだけれど、何しろ息が切れてきていてぜいぜい言いながら答えることになる。そして一人の前を通ると、もうすぐ向こうに次の一人が見える。