窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

灯油

 このところ家で版画を作っているので、ずっとエプロンと腕カバーをしている。
 この辺りは、灯油を売る車が家の前まで来てくれる。各々の家の前に灯油のタンクを出しておくと、笑福亭笑瓶似のオジサンが入れていってくれるのだ。初めの頃、笑瓶似のオジサンは、私が一体何をやっているの人間なのかいぶかしそうであった。愛想のよい笑顔の中に、そのような表情が見え隠れしていた。しかしこのところ私がいつもそのような格好をしているのを見て、家で仕事をしているというのを察知したようで、領収書を沢山くれた。オジサンの話では週末は雪になるらしい。「大雪」と聞くだけで寒さが倍増する気がしてストーブをつける。よって灯油が早くなくなる。