窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

アーサー・ビナード氏から本を受け取った。エッセイ集「空からやってきた魚」
アーサーは私が挿画を描いた小熊秀雄の「焼かれた魚」の英訳をしたアメリカ人である。今は、時折NHKの番組にも出ていたり地方のラジオ局の番組を持っていたり、童話やエッセイの本も多く出している。そうして本業である詩では、詩集「釣り上げては」で中原中也賞を受賞して多忙な日々を送っているようだ。

彼と初めて会ったのは、その本の打ち合わせだったか、もう少し前だったか。いずれにしても今から10年以上も前だ。日本語学校で講師をしていた私の母の教え子だったのだ。その時日本に来てまだ数年だったけれど、既に日本語は堪能で、そうしていつもボロボロの国語辞典を携えていたような記憶がある。言葉遣いのせいか彼はいつも大人びて見えたが、この本を読むと少年のようなところもあり、1章ごとにクスクスと笑ってしまう。アメリカ人の友人の名前や地名が出てくるし、アメリカ人として日本を見ている章も多いのだけれど、そういう文章にぶつかれば「ああそうだ。彼はアメリカ人なのだ。」と思うのだが、使っている言葉は日本語そのものなので不思議な気がする。

今日は扇風機とクーラーの掃除。まだ暑い日は続くのかもしれなけれど、既に8月も最終週。どうせこんな暑さなんて続きはしないのだ。という諦めの夏。油蝉も25度を過ぎた辺りから鳴き始めるようだが、今日はそれに蜩も混じっていた。

焼かれた魚
空からやってきた魚
釣り上げては