窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

6時前に猫が私の上を往復して行った。もうこれはぜったいに故意だ。往復、しかも鳴きながら・・。一瞬のこととは言え5キロの物体である。猫はそのまま空っぽのご飯茶わんの前に座って、タヌキのような顔で私を見ている。なんだかばかばかしい気分になっそのまま起きてしまった。
仕事と個展にまつわる事務的作業やら明日の準備やらで、食事をする間も無くあっという間に夜になってしまった。

本ができた。ページをめくるのもちょっとドキドキする。色も奇麗に出ていて嬉しい。思えば長い道のりだった。出版社の人や印刷会社の人たちの顔が浮かぶ。みんなの汗と涙の結晶である。(というか・・)子供向けの詩の本なので、これまでの私の作品と比べると、ちょっと可愛いものが多く登場する。改めてこうして印刷物になってみると、かなり客観的に見える。なるほど。私の描く顔は、みんな脱力しているわい。