窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

充電中

80年代の終わりか90年代の初めだったか原発廃棄物処理の問題をとりあげたNHKのドキュメンタリーを見てから、ずっとソーラシステムが欲しかった。
90年代の中ごろから私が住んでいたのは、周囲が畑で日当たりだけはものすごくよい7,8坪位の空き地が付いている古い平屋の貸家で、近所の大きな農家の屋根にはソーラーシステムが付いていたけれど、私がそれを自前でやるのは勿論無理なことだった。
元々小さい物好きな私なので、その頃所有していたVAIOのB5ノートブックの充電などに使えそうなものをネットで検索したみたのだけれど、サイトを巡り色んなアイデアがあるものだと感心しつつ、コンパクトなソーラーでも私にとってはあまりに高くて断念したのだった。

どのサイトだったか忘れてしまったけれど、ベランダで傘をさかさまにしたような形状に銀色のプレートを貼った物を置き、熱を集めて目玉焼きを焼いていたり、お湯を沸かしている人もいた。
火の周辺のことは、当時は庭で紙作りや染色のために七輪を使用していたので私は特に必要ではなかったが、庭に植えた痩せたユーカリ以外に陽をさえぎるもののないその家だったので、水を入れた薬缶やバケツを外に出して置いて、お湯を沸かす時間を短縮するのを楽しんでいたものだ。
そして時間が過ぎ、私の経済事情で許せる範囲で数年前に買った携帯ソーラー。ノートパソコンの充電は無理だけれど、携帯やiPodwifiなどのとっさの時の充電には役立つ。
でも、私が始めに自前のソーラーのサイトを見ていたときには、私は携帯電話もiPodwifiも持っていなかったのだった。