窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

つらく悲しいニュースだった。
久しぶりに見たテレビの画面で、憔悴しきった中村先生とスタッフの人達の姿を見て、信じられない思いだった。

9.11の時、情報が錯綜し、多くのNGOの活動が政治化される中で、唯一信頼できると感じられたのがペシャワール会中村哲先生だった。
今回も色々な情報や報道が出て、それらはカットされたりつなぎ合わされたりもしながら、様々な形で政治に利用されていくのだろう。あるものはここぞとばかりに、あるものは善良なふりをして。
当時の会報を読み返してみて、7年が経とうとしている今、日本の報道姿勢は多少変わったのだろうか、と思う。断定的な物言いは、少なくともニュースでは避けられている。未知の国「アフガニスタン」について、評論家やコメンテーターが犯人探しをして情勢を想像で語る構図。
テレビなどでの報道が少なくなった分、色んなニュースソースを日々刻々と貼り付ける人もいる。そして今度はそれに対して皆がコメンテーターになっていたりして。

日本で、ただ会の行動に賛同しているだけの私にとっても未知の国「アフガニスタン」。私ができるのは、溢れる不確かな情報に右往左往し犯人を占うことよりも、これまでと変わらず微力ながら活動をサポートするだけだと思う。
亡くなった伊藤さんのご冥福をお祈りし、皆の無事を願いながら。