窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

桜ももう終わり。
「東京の桜はアッという間に満開になりましたが、今年は開花してからがんばりましたね。」
「がんばりました。」
と、NHKラジオで言っていた。しかしいつまでもがんばりきれずに桜は散り始めた。

近所は桜だらけ。町を少し見渡せる坂に立つと、あっちもこっちも淡い色の桜の木がもやもやしている。
桜がまだ咲いていると落ち着かない。早く見ないともう散ってしまうかも知れない。今日はもうだいぶ散ってしまったことだろう。まだ咲いているかも知れない。と。
もう毎日通る道で十分見ているのに。
今日あたりはもう池にも地面にも花びらがだいぶ落ちていた。なんとなく曖昧な春だった。

エヌ江お薦めの高見順。図書館で借りたけれど全部読みきれず、古書店で見つけたので続きを読んだ。なんだか湿気にあてられてしまったかんじ。どんより。しかしおかしい。