窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

花冷え

今年は桜が咲き始めてから、それほど寒くはならないと思っていたらやはり今日は花冷えで寒かった。
着込んでなつかの上野さんの個展へ。例によって電車が信号トラブルで遅れて駆け足で。
同じフロアでやっている他の作家さんの展覧会はザザザッと流して観てしまったのだが、エレベーターを待っている間に声をかけられてしまう。
「この画廊へはよくいらっしゃいますの?」と。
「え、ま、はあ、す、すみません。」と私は答えながら、来たエレベーターに吸い込まれていったのだった。すまぬことでした。

走って新宿で打ち合わせ。結構タイトなスケジュールで夏までに挿絵本を1冊。楽しみでもあり冷や汗ものでもあり。
その後世界堂へ。しかし、お金をおろしてくるのを忘れた。「必要なもの最小限」と思って店内を巡ったら、結局購入したのは水筆1本。それとて、なくても良かったような。
本当は銅版画インキを・・と思っていたのだけれど、以前来たときよりもさらに種類が少なくなっていた。
紙のコーナーとか、カッターやスケッチブックも一応チェックしたのだけれど、なんとなく品揃えが・・・。画材屋と言うよりも大きな文具店のようになりつつあるきもする世界堂。昔の、焼ける前。そして仮店舗の裏通りの頃が懐かしい。店員さんももっと詳しかったし。今はアニメ用品が幅をきかせているような気もする。置いてあるものも、ややお洒落な傾向に。しかしモナリザはあっと驚いたままで、それだけが救い・・のような、恥ずかしいような。