窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

アシカ君一家とお花見に行った。
気温はけっこう高くなり、数日前までまだ5分咲きだと眞由美さんと情報交換をしていたのだが、あっという間に満開に近くなった。そうなると裏の公園ではカメラを構えた人達がずらりと並んでいる。例によってカワセミを待っているのだ。
私たちが通ったときに、丁度カワセミが飛来していてグッドタイミングだった。珍しく2羽飛んでいて、ホバリングしたり、池の魚を捕りに飛んだりと、大サービスだ。
アシカ君も眞由美さんも目を丸くして見入っていた。しかし、喜んでいたのは大人だけで、子供達の反応はいまいちだ。うん、うん、中高生にもなって親の花見に付きあわせられる彼らの気持ちはよくわかる。

目的地に着くと、やはり日曜で天気がいいだけあって結構な人の出だった。私が10数年前に住んでいた場所それ程離れてはいない場所なのだけれど、あの当時もこんなに人が繰り出していたのだろうか?

途中で、酔っ払い軍団がパフォーマンスと称して木に登って、半紙にバーナーで文字を書こうとしていた。しかし、風が吹いてバーナーの炎は流れるわ、半紙は絡みつくわで、何をやりたいんだかわからないうちに退散していった。
久しぶりに明るいところで酔っ払いを見た。花見ならではだ。

眞由美さんが早起きして作ってきてくれたお花見弁当を広げた。鳥の唐揚げや卵焼きやポテト。花見はこれでなくては。というかんじでなんとも美味しかった。
食べ終わってからしばし歓談、アシカ君が立ち上がり子供達を連れてブラブラと周囲を見物に歩き始めると、ついていきたい犬のバッハはアシカ君の後ろ姿を悲しそうに見つめている。
アシカ君は偶然そこで仕事仲間のS氏に遭遇したらしく、一緒にコチラへやって来た。S氏はこの桜のある場所のすぐ近くに住んでいるのだ。眼下にこんなに桜があったら毎日繰り出してしまいそうだ。

アシカ君が戻ってきて、バッハはようやく落ちついた。バッハにとってアシカ君が一番で、アシカ君の言うことはちゃんと聞くのだという。そんな話を眞由美さんが私にしながら、いきなり、
「わかった!!人が何故犬を飼うのかが!!」と言った。ホントだ。