窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

くろ


これは猫びより 2006年 05月号 [雑誌] の佐野眞一さんのエッセイのカット用に描いたものである。「猫びより」という雑誌は、ご覧頂ければわかるとおもうけれど、猫の愛らしい姿が満載である。「うがーー、もう、タマラン。ガブッ」っと噛みつきたくなるような猫だらけだ。(私だけ?)今号の表紙とて、「アハハ、ポンポンポン!」と、頭を軽く叩きたくなるような猫だし。(私だけ?)
その中で、このエッセイのコーナーだけは少し異色な気もする。「猫の話」となると、猫好きな人は今の子が初めての子ではない場合が多く、「前のあの子はこんな子で・・」みたいな、少ししんみりしてしまうような文章になってしまうのかもしれない。
佐野さんのエッセイもそうだった。読んでいると、私の家の猫や前の猫達や、仲良しだった猫達の最期の時を思いだしたりして、なんだかしんみりしてしまった。


「『猫だより』だっけか?」と、間違えたM亮は「黒猫がもう少しかわいくない方が良かったんだけど。」と言う。それは彼ら夫婦が飼っていた黒猫のゴックンのことを思いだしてのことだろう。ゴックンはとても大きな立派な猫だった。


それぞれの猫達。彼らは皆いったい何処から来て何処へ行くのだろう。