窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

ラジオ

テレビが無いのでラジオを聴いている。しかもNHKラジオ。しかも第一。聴くようになったのは、20代の頃にアルバイトで商業施設の模型を作っていた頃、バイト仲間のK君やT君が聴いていたからだ。美学校出の彼らは同じ年代だったのだけれど、なんとなく浮世離れをしていた感がある。NHKラジオのアナウンサーは喋りもゆっくりなので、細かい単純作業も多い模型仕事にはピッタリだったせいもある。そうして、アナウンサーが間違えたりすると「うーん、この人は減俸だ。」「あ、また噛んだ、どうしようもないな。首だな。」「いいのかよ。こんなんで。NHKだろ。」等と言いながら、数ミリのプラ版をカットしたりしていた。
テレビが無い。と書いたけれど、テレビはあるのだ。買ったのはいつだったか。10年以上前だったと思う。図書館で鬼平のビデオが全巻揃っていたので、それを見るために買ったのだった。その時も古い戸建てで、アンテナがついていなかったのでビデオ用に使っていた。それからこの間のワールドカップのあたりにアンテナを立てたのだけれど、ここに越してきてまたアンテナがついていなかったのでそのままになっている。オリンピックも、ラジオでわかるのはジャンプ競技くらいだ。「シュッ!」っとスタートした音の後は、アナウンサーが「K点超えるか!」と絶叫して、すぐに「102メートル」と、結果を言う。私はその間、飛んでいる様子をイメージする。簡単だ。他の競技、例えばスピードスケートは、難しい。氷の「シュッ、シュッ」という音と、アナウンサーの「コーナーにかかりました」と言ってからの間が、どうなっているのかイメージできないまま気付いたらゴールしている。だいたい朝や昼間のニュースのハイライトなものだから、よけいにわからない。
 フィギュアは不可能だ。出場選手の顔さえ良く知らないし、おそらく「3回転成功しました。」なんて、アナウンサーが言っても私は伊藤緑のジャンプしか思い浮かばないことだろう。顔が出ていて表現力を競う競技は、ラジオ向けではないのだった。
今年もワールドカップだけれど、どうせ時差でとんでもない時間だろう。それよりもヤクルトだ。石井一久も、そうしてナント高津も戻ってきたのだ。古田捕手も監督になったのだから、テレビに映ることも多くなるだろう。しかしヤクルトの試合自体テレビでやるのだろうか。ケーブルのスワローズチャンネルを見るしかないのだろうか・・・。まあ、そこまでするのなら、神宮に通ったほうが楽しいかも。
昔、アシカ君の妻の家で皆で集まった時、私がテレビをつけてヤクルトの試合に熱中していたら、後ろでアシカ君が「市川ってさあ、なんかさー。俺、意外だな。」と、言った。「なにが。」と私が横目で見ると、アシカ君は言いづらそうに「いやあ、なんというか・・・オヤジだな。」と言った。