窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

カミツキネコ

台風が来ているそうで、東京も雨降り。気圧が低いと怠くて眠い。電話の友人達も男女をとわず皆「だるーい」「ねむーい」と言っているので、電話を終えると眠さが倍増してくる気がする。
そんなわけで週の初めに気晴らしに美容院へ行った。美容院には猫が3匹いる。一番新しい猫はクウタ。拾われたばかりの頃には、それまで苦労していたせいか痩せていて目の下に隈があったのだけれど、久しぶりに見たら6キロのフクフクした大猫になっていた。私の家の猫と違い大変大人しい。されるがまま。仰向けにしたら仰向けになったままねているし、頭をぐりぐりと撫でると、グルグルいいながら寝ていて文句一つ言わない。
それにひきかえ、家の猫は触るだけでママー人形のように「ヌー」とか「マー」とか言い、それでもかまわず撫でていると噛みついてくる。「『カミツキガメ』のようだ。」と言うと、鼻息をフンと吐いてにらみ返してくる。それでも他人が家に来ると、愛想よく振る舞ったりして、なんか性格悪いんじゃないの?と思うこの頃だ。
先週、日本児童文芸家協会賞の授賞式に行った。協会賞を受賞したのは、こやま峰子さんの著作「しっぽのクレヨン」「かぜのアパート」「ことばのたしざん」。新人賞他受賞された作品のそれぞれの出版社を代表して、朔北社の社長が挨拶をされた。その中で、社長は担当の編集者と絵描きに対しても一言述べられた。嬉しかったけれど恥ずかしいので、私は半歩ずつ「しっぽのクレヨン」の版画を作った城野さんの後ろに隠れた。