窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

青山辺り

「お金があってどこでも好きなところに住めるとしたら、何処に住みたい?」と、以前知人に訊かれた時、私は「青山か銀座か都心で大きな庭があって、外から見えないくらいの木が生えているような日本家屋を建てて、別に中古でも良いけどそういうところ。」と、答えたら「それじゃあ皇居だ。無理だ。非現実的だ。」と、呆れられた。そういえばTさんにも同じことを尋ねられて、そう答えたら彼女は「そんなもの。お金がかかりすぎる」とつぶやいていた。だって、「お金があってどこでも好きなところ」って言ったのに・・・。
「お金があって好きなところに住める」ということからして言ってみれば非現実的なのだから、その線に沿った中でーーと考えれば、私の希望はとても現実的だと思うのだが。まず、私は出不精なので展覧会や映画を観に行ったり、画材屋にもすぐ行かれる都心が好ましい。たまにはブラブラと寄席にも行きたい。都心だったら騒音もあるだろうし、こちらも制作するうえで音をたてることも多いから他の家と離れているほうがいい。そうなると広い庭があって周りに木があったほうが良い。池もあって蓮が生えておりアヒルが泳いでいたりすると、モチーフにもことかかない。まことに現実に沿った考えだ。ふむ。