窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

国吉康雄展

国吉康雄展へ行った。近代美術館へ行くのは何年ぶりだろう。私は靉光の「眼のある風景」が好きだったので、予備校時代にはせっせと通ったものだった。国吉康雄の絵も、一番良く見たのは予備校時代だ。画集を見ながら絵具の付け方、色、構図などを研究したものだ。しかし、これは美大生の悲劇である。そういうふうに見てしまった絵を、普通の絵として観られない。もうあれから20年以上も経っているのに、どうしても絵具の付け方などに目がいってしまう。先日日曜美術館での国吉特集の時には、司会のハナさんと同様に、説明を聞きながら、ふむふむと感じ入っていたのだけれど。番組内で解説されていた絵を前にしても、(この机の絵具のつきはすごいなあ。)等と感心している自分に気づいて情けない。