窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

先日、ヒロエさんから使わなくなったべルソーとバ二ッシャーとビュランを頂いた。彼女は木版画家なのだが、私と同様道具好きなのだ。以前近所に住んでいたころには、バレンだの彫刻刀だのニードルだの、版画の道具は元より、カンナやヤスリなどをお互いに見せあって感心しあったものだった。
版画の専門的な道具というのは、けっこう高価なのである。私は時々版画専門店の棚に納まっているビュランを見ては、また今度にしよう・・と思って買わずに帰っていた。ビュランは、直接技法といったら良いか、私がこれまで作っているものとは少し異なるせいもあった。べルソーもそうで、1本買ってから使うまでにずいぶん間があった。
今日初めて頂いたビュランで、銅版を削ってみた。ウウ。楽しい。意味もなく持ち手のところを磨いてみたりして。べルソーもちょうど欲しかった幅のもので、ありがたい。2本のビュランのうちの1本は、彼女が折ってしまったということで、かなり短い。深沢幸雄先生の著書を開くと、ビュランを作る方法が載っていた。鉄の棒に焼きをいれて、研ぐ。私は、同様にしてバ二ッシャーを作ったことがあったのだが、その頃使っていたバーナーは壊れてしまって今はない。まずは鉄の棒と、ガスバーナーを入手しなければならない。・・・・と、そうやって、制作とは関係のない方向に頭が向かっていく。いかん。