窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

先日、M亮がベビーコンプレッサーも持ってきてくれた。これは、もともとはエアブラシで制作している美術家のズンさんのものなのだけれど、使わないので私が借りることになったのだ。銅版画の溶剤というのは、身体に悪い。腐蝕液の硝酸はもとより、グランドを溶かすリグロインも、換気の悪いところで使用しているといきなりダウンする。そこで、メーカーでは少しでも身体や環境への負担が少ないものを開発しているようだ。
私がコンプレッサーを使おうと思ったのは、水溶性のグランドを買ってみたためである。アクアチントの代わりに、この水溶性のグランドを細かい霧状に吹きつけて使用するというもの。
学校では、2時間くらいエアブラシの授業があった(ように思う)。しかし、全く覚えていない。使う段になったら、もう一度ズンさんの指示を仰ぐことになりそうだ。
大学時代の実技の授業では、エアブラシや彫刻、写真、ひととおりの版画の技法、日本画、古典技法等々、少しの時間ずつではあけれど、色々と学んだはずなのだけれど、殆ど身に付いていない。ああ、あの時もっと真面目にやっていればよかった。と、卒業してから何度も思うのであった。